しばらくして、目を覚ますとまだ夜中だった。
2時間ほど眠っていたようだ。
隣を見ると、まだ夫はぐっすり寝ている。
私はそっと起き上がり、美香たちのテントを見ると静まり返っていた。
「はぁ……」
思わずホッとして溜息が出てしまう。
先ほどのことを思い出すと、恥ずかしい気持ちが沸き上がった。
私はそんな気持ちを振り払うようにテントを出てトイレに向かう。
満天の星を眺めながら歩いている気持ちいい。
トイレを済まし、少し遠くまで歩いてみた。
町が一望できる場所まで来ると、海沿いに小さな明かりがたくさん見えた。
「綺麗……」
思わず独り言が出た。
月明かりに照らされた町の夜景はとても幻想的で美しかった。
しばらくぼーっと眺めていると、急に後ろから声をかけられた。
「眠れないんですか?」
慌てて後ろを振り向くと、雄二さんが立っていた。
「び……びっくりした……」
「すいません。驚かせるつもりは無かったんですが」
彼の笑顔を見ると胸が高鳴る。
彼は私の隣に来て、一緒に景色を眺めるように立った。
「綺麗ですよね」
「はい……とても……」
そう言いながら、私は内心ドキドキしていた。
「ここに来たときはいつも見に来るんですよ」
彼の低い声が耳に心地よく響く。
私は彼の横顔をチラッと見た。
さきほどのテントから見たシルエットと重なる。
私はまたあの情事を思い出し、子宮がきゅっと締まるような感覚を覚えた。
(あぁ……いけない……)
私はできるだけ平静を装う。
「今日は来てよかったです。こんな綺麗な景色を一緒に見れて」
「え?」
「あ、いや……裕子さんみたいな綺麗な人と、こんな綺麗な景色を」
私は驚いて彼を見た。
「ふふ、雄二さんも冗談言うんですね」
「いえ、冗談では」
そう言うと彼は少し困ったような顔をしたがすぐに笑顔になった。
「そうだ。もっと星がきれいに見られる場所があるんですよ」
彼は思い出したように言った。
「ここは寒いので、よかったら行きませんか?」
「え?あ、はい」
少し緊張が解けた私は、言われるままに彼について行った。
「ご主人は?」
「もうぐっすり寝てます。お酒を飲んだら全然起きないんです。美香は?」
私はそう言ってから少し後悔した。
美香は彼とのセックスで何度も絶頂に上り詰めていたのを思い出す。
「あぁ……美香も一度寝ると起きないです」
「そうなんですね。」
彼は特に気にした様子もなく答えたのでホッとした。
おそらく彼は、私が覗いていたことに気づいていないと思った。
自慰をしていたことも…
そんなことを考えながら石段を下りていると、
「きゃっ」
足を滑らせてしまい、彼に抱きとめられてしまった。
「おっと危ない。大丈夫ですか?」
私は彼の腕に抱かれながら彼の顔を見上げた。
彼は心配そうな表情で私を見ていた。顔が近く私は思わずドキッとした。
しばらく見つめ合っていたが、ハッとして慌てて離れた。
「す、すいません!」
「いえいえ。気をつけてくださいね」
彼は優しく微笑みながら言った。
「はい……」
私は恥ずかしくなって俯いたまま答えた。
彼のたくましい体の感触がまだ残っていて、触れられた場所が熱い……。
「暗くて危ないですので」
そういうと彼は手を差し出し、私はその手を取った。
彼の手はとても大きくて温かかった。
「ありがとうございます」
小さな声でお礼を言い、私たちは手を繋いで歩き出した。
歩いている間、私はずっと心臓の鼓動が激しく高鳴るのを抑えられずにいた。
「さぁ着きましたよ」
そこは車を止めた駐車場だった。
「ここは……」
広いスペースに車が数台だけ止まっている。
彼は車のドアを開け、なにか操作すると車の天井部分が開いていく。
「うわ……すごい」
「ここから満天の星空が見れるんですよ」
彼は手際よく椅子を折りたたむと、車の中に広いスペースができていく。
「どうぞ」
彼はそう言って私の手をとりエスコートしてくれる。
これに乗ってしまったら引き返せない……、一瞬そんな気がしたが、
私は彼の手を握り返し、車に乗り込んだ。
大人二人が寝転んでも十分な広さがある。
車の天井部分はガラス張りになっていて、そこから見える景色はまさに絶景だった。
「すごい……本当に星空が……」
無数の星々が輝き、まるで宝石箱のようだ。
私はその美しさに思わず見とれてしまった。
「仰向けになるともっと綺麗に見えるんですよ」
「はい……」
私はゆっくりと仰向けになった。
「あぁ……本当に綺麗……」
星空が視界いっぱいに広がり、まるで宇宙に浮かんでいるような感覚になる。
私はしばらくその景色を眺めていた。
「僕も隣いいですか?」
私はコクっとうなずき少し端に寄った。
彼は隣に横になって、私と同じように星空を見上げた。
夫以外の男性と隣り合って寝ている状況に緊張してしまう。
「今日は一段と綺麗だ」
私は彼の横顔を見た。月明かりに照らされたその顔はとても凛々しく見えた。
「裕子さん」
不意に名前を呼ばれてドキッとした。
「さっきはすいません……」
「さっき?」
「テントで……」
私はハッとした。 心臓がバクバクと音を立て始めた。
「その……美香との声が聞こえてたようで」
私は恥ずかしさで顔が熱くなった。彼のテントを覗き見していたことがバレていたのだ。
「い、いえ……こちらこそ……その……ごめんなさい……」
「月明りであなたのシルエットが……」
私は心臓が止まるかと思った。
「あなたのシルエットが綺麗でした」
思考は完全に停止してしまい、何も考えられなくなった。
私が自慰行為をしていたことを彼は知っているのだ。
私は恥ずかしさのあまり死にそうだった。
「いつも一人でするんですか?」
彼はさらに追い打ちをかけるような質問をしてくる。
私はもうパニック状態だった。
「ち……ちがうの……あのときは……」
必死に言い訳を考えるが頭が回らない。言葉が出てこない。
彼は私に覆い被さるようにして顔を近づいてきた。
恥ずかしさのあまり彼の顔を見ることができない。
「あのときは?」
彼の低く優しい声が私に響く。
「その……美香の声が……すごく……気持ちよさそうで……」
私は消え入りそうな声で答えた。
「それで?」
「わ……私も……あんな風にされたらって……そしたら体が熱くなって……我慢できなくなって……」
私は震えながらなんとか答えた。
もう自分が何を言っているのかもわからないほど混乱していた。
彼は私の髪を撫でると、ゆっくりと唇を重ねてきた。
私はビクッとしたが、抵抗しなかった。むしろ彼との初めてのキスを喜んでいる自分がいた。
彼の唇は柔らかく温かい。
しばらくそのまま唇を合わせていた。
「初めて見た時から……あなたのことが気になっていました」
彼はそう言うともう一度唇を重ねてきた。
今度はさっきよりも強く押し付けられる。
私もそれに応えるように彼の舌を受け入れた。
美香や夫のことが頭をよぎったが、すぐにかき消されていく。
お互いの舌が絡み合い、唾液を交換するような濃厚なキスになった。
(あぁ……気持ちいい……)
夫ともしたことがないような激しいキスに私は酔いしれた。
息継ぎのために口を離すと、彼は私の耳を舐め始めた。
ピチャピチャという音が直接脳に響いているような感覚に陥る。
「裕子さん……」
彼は声が響き、ゾクッとする感覚に体が震える。
彼の手が私の胸へと伸びてきた。
服の上から優しく揉まれるだけで感じてしまう。
「んっ……」
思わず声が出てしまい慌てて手で口を塞いだ。
「我慢しないで」
耳元で囁かれる言葉に体が反応してしまう。
彼は器用に私の服を脱がせていく。あっという間に下着姿にされてしまった。
慣れた手つきホックをはずし、ブラを上にずらす。
美香よりもずっと小さい胸を見られるのは恥ずかしく、私は手で隠した。
しかし彼は私の両手首を優しく掴むと頭の上で押さえつけた。
「綺麗だ」
彼はそう言うと、私の乳首を口に含んだ。
「あぁ……」
彼は舌先で転がすように舐めたり、吸ったりするたびに体がビクッと反応してしまう。
「んっ……あっ……」
彼はもう片方の胸にも手を伸ばし、指で乳首を弾き始めた。
両方の胸から快感が伝わってくる。
「あぁ……あぁっ……」
こんなに乳首が感じるなんて……私は自分の変化に戸惑っていた。
彼の優しく丁寧な愛撫に声が止まらない。
「あぁっ……」
彼に抱かれたい、心の底で思っていたことが現実になり敏感になっているのかもしれない。
まるでクリトリスを触られているような感覚に陥る。
「あっ!あぁっ……」
あまりの気持ち良さに背中が仰け反り、胸を突き出すような格好になってしまう。
彼は私の反応を見ながらさらに激しく責め立てた。
音を立てて吸い始め、指先で弾くスピードも速くなる。
「んんっ!あっ……ああっ!」
頭が真っ白になるほどの強い快感に襲われる。
(うそ……乳首だけで……)
甘い快感が全身に広がり、子宮が収縮する。
「あぁっ……もうダメェ……イク……」
私は乳首だけで絶頂に達してしまった。
今まで感じたことがないほどの快感だった。
「はぁ……はぁ……」
「敏感なんですね」
彼は優しく微笑むとキスをしてきた。
彼の舌が入ってくると私もそれに応えるように自分のものを絡めた。
絶頂して敏感になった体が蕩けそうになるのを感じた。
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